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…………
『…うん、いいよ』
『は…っ!?
君、なんで普通に告白受けてんの?』
『え…いいじゃないですか
デートくらい
院内でお散歩
気晴らしになりますし
その代わり
デートなんだから
男の子は女性にジュースくらいご馳走…できる?』
『ったりめーじゃん
ジュースくらい奢るって』
『ちょっと…っ
患者にジュース奢らせるとか…
翠ちゃん
なに考えてんのさ』
霧生さんが怪訝そうに
顔をしかめて
私の腕を掴む
それを見た彼は
『霧生先生?
もしかしてヤキモチ妬いてる?
別に翠ちゃん
霧生先生のじゃないんでしょ?』
挑発的な視線を向けた
『はぁ~…
なんでそんな事
君に言われないといけないのかな
彼女が子供の相手なんてするはずないでしょ
わかったらさっさと診察して
バトル済ませちゃうよ』
『翠ちゃん
俺が勝ったらデートしてくれるって言ったし』
『うん、勝ったらね』
『翠ちゃん…!!
ほんとに怒るよ…?』
さっきより鋭くなった
瞳の奥
イライラしているのがわかる
正直
この子とのデートをデートの部類でなんて考えてない
患者さんの外出の付き添い
ただそれだけのつもり
ジュース奢らせる…なんて冗談に決まってる
大体先生が負ける…なんて思ってないし
そもそも相手は小学生
なのに
こんな風に霧生先生が怒るなんて
予想外だった
だから
先生にだけ聞こえるような小さな声で
私の精一杯の…悪戯
『…負けないでくださいね…?』
一度見開いた目を
すっ…と細めた先生
『…負けるわけないじゃない』
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