君と見た空

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……はぁ…っ 全く…僕もどうかしてる 小学生相手にムキになるなんて 医局に戻って 言い知れぬ脱力感に向かわれた僕は はぁ… 二度目のため息を付いた なんであんなにムキになったんだろ ゲームには 当然勝ったけど あの子に見抜かれてた 僕の中に渦巻いた一瞬の ヤキモチ 翠ちゃんが患者の付き添いで外出…なんて よくある話 なのに 『先生…? 俺、 翠ちゃん好きなんだよね』 彼の友達が来てたとき 確か そんな風に話をしてた 『ふーん じゃあ…精々頑張りなよ』 僕はそう答えた 小学生の初恋…ってやつ? その時はなんとも思わなかったし まさか ほんとにデートに誘うなんて思いもしなかった だからって… 『…聞いたぜ~純 小学生相手に翠取り合ったって?』 ………っ… 『…別に取り合ってなんていませんけど? ただ生意気な小学生にゲームで勝っただけです』 医局に入るなり 笑いを堪えた鮎さんが 珈琲を差し出してきた 『最近の小学生はませてやがるからなぁ うかうかしてると… ほんとに奪われちまうぜ? 小学生によ』 『…冗談やめてくださいよ… 何度も言ってますけど 僕は翠ちゃんの事なんて…』 『…ったく… お前も素直じゃねぇなぁ… んじゃ…一つ教えてやる 第5病棟の看護師が 翠狙ってるって専らの噂だぜ? 今度は小学生じゃねぇ しっかりとした大人の男だ まっ…お前には関係ねー話か』 …………… 『…そうですね… 関係ないですよ全然』 今更…好きだなんて 言えるはず…ないじゃない この僕が
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