君と見た空

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━10━ 『OB会?なんで急に?』 『そんなの私だって知らないよ… 急にメール回ってきたんだから』 昨夜、昔の… 弓道サークルの仲間 紗和からきた突然の電話 『もちろん翠行くよね? 翠が行かなきゃ 私も行かないつもりなんだけど』 『ちょ…なにそれ 大体仕事だってあるんだし… 急に言われても休みかどうかわからないし』 『あ、日にちはね… 今週の土曜日 どう?大丈夫?』 今週の土曜… ベットの上から 壁に掛かったカレンダーを見上げると …あ…休みだ 『…取りあえず休みだけど』 『やった!! じゃ…大丈夫だよね?』 『ちょっと待ってよ 私だって休みだからって いつも暇とは限らないんだから』 『…何? だって別に予定ないんでしょ?』 ……う…っ… 確かに…ないけど 急の誘いにも 簡単に応えられてしまう自分の状況は 年頃の女があまりにも… 寂しくない? 少しは躊躇でもしてみようと 上手い言葉を探すけど …なかなか出てこないもので 『無理するなって』 『…失礼だから』 『じゃ、決まりね!! 一緒に行こう?』 『了ー解』 まぁ…行けば楽しいのはわかるし 久々に皆に会えるのはやっぱり嬉しい ペンでカレンダーに丸印を書きながら 何着て行こうかなぁ… なんて 『…ね…何着て…』 『あ…そういえば』 ……? 『翠 霧生さんアメリカから帰って来たの知ってる?』 『知ってるよ 一緒に働いてるもん』 『はっ!? なんでそれ、先に言わないの!?』 『だって聞かなかったじゃない』 電話の向こうから聞こえる大きな溜め息 『メールくれた先輩が “霧生が帰ってきてる”って言ってたから 早く翠に知らせてあげなきゃ…って思って言ったのに』 『なんで?』 『なんで…って… だって翠 霧生さんがアメリカに行く時一番泣いてたじゃない “行っちゃイヤです”って あの時の翠 恋人か何かに見えたよ』 …そういえばそうだった 【お前は霧生の何なんだよ】 って 他の先輩に呆れられたっけ まだ…みんな覚えてるのかなぁ… ちょっと…嫌だ
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