君と見た空

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『おい…純 聞いたか?OB会の話』 『聞きましたよ、昨日 突然、佐々木からメールが来て 何事かと思いましたけど』 医局のドアが開いたと同時に聞こえた鮎さんの声 『なんでも良さんが元気なうちにとか…って 縁起でもねぇ事を言ってやがったが… お前、今週の土曜っていや夜勤明けだろ 行けそうか?』 『そうですね… 多分大丈夫だと思いますけど 鮎さんは日勤ですよね もちろん行くんでしょ?』 『ああ…俺は仕事の帰りに直接向かうつもりだが 土谷さんと南さんは 少し遅れるが顔は出すってよ』 部長クラスのあの二人は 忙しいからね でも 『悠太は?』 『あ~…』 悠太の名前を出すと 急に歯切れが悪くなって …何かあった? 『…あのバカ… OBに元カノがいること 蘭に喋っちまったらしくてよ… 許可が貰えてねぇ…とか言ってな』 『…バカじゃないの?』 ツメが甘いってゆうか 悠太らしいってゆうか あ…でも 『そう言えば鮎さんも OBに元カノいませんでした? たしか…僕の同期』 『あ…?ああ… アイツは昨年子供出来て 結婚したらしい 子育て中で来れねぇっつってたな』 へぇ… みんな状況も変わってきてるんだね そりゃそうか だってあれから何年たったっけ 『…変わらないのは 僕達だけって事ですかね』 『まあな… あの時のまま… お前がいて悠太がいて 土谷さん…南さん 遠藤に…翠 不思議なもんだな 今でもこうしてみんな一緒だなんてよ』 ククッ… 白衣を椅子に掛けながら 嬉しそうに肩を揺らした そうだね… あの頃と一緒 一緒だけど ただ一つ 変わったのは ほんの少し 翠ちゃんと僕の距離
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