君と見た空

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久々に霧生先生と昔話で盛り上がった診察終了後 霧生先生の言葉に 耳を疑った 『…ほんとに何もなかった…って 思ってる…?』 ……え。 それは…どういう? 『何もなかった…ですよね…?』 『…さあ…ね』 口角を上げて 曖昧な言葉に まさか…そんなはずは…っ!! えーっと… えーっと… …ダメだ… 全く思い出せない 『…何も…なかった… ですよね…?』 もう一度聞いてみる 『うん』 ……………… …ヤラレタ… 『…っ!! んもう…っ!!先生のバカ!! 悪趣味!!』 『あははっ… 少しからかってみたくなっただけ』 あははっ…じゃない!! ほんとに… ほんとに焦ったんだから 【霧生の家で一晩何もなく過ごせるのは 翠しかいねーよな】 よく周りの先輩達に言われた 霧生先生の家=男性の家 っていう意識が 当時の私には皆無だったから 朝、霧生先生が淹れてくれる珈琲 大好きだったし その事を普通に周りにも話してた 『ほんと仲いいよね』 『兄妹みたいだな』 そう言われるのが むしろ…嬉しかった 今の私なら… 意識…しちゃうかもしれない こうして一緒にいる時の 今まで感じた事のない 新しい気持ちに 言葉を当て嵌めるなら 多分… 恋…だから でも 認めてしまったら 私達…どうなっちゃうのかな…
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