君と見た空

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『ああ…びっくりした』 思わず口をついて出た僕の言葉に 予想通りの反応を見せた翠ちゃん 相変わらず 何度でも騙されてくれる君は 昔から僕のおもちゃ 可愛くて可愛くて 妹みたいだった でも 最近少しだけ この関係に苛立ちも覚えてきて それはきっと 妹に見れなくなってきたから 数年振りに再会した君は 大人の女になっていた 誰より大事だった女の子は いつの間にか 誰にも渡したくない女になっていた 鮎さんに言われた “一人の女として” もう…誤魔化しきれない 僕は 翠ちゃんが好き 一人の女として 出会って数年 かなり遠回りしたけど 本当は昔 たった一度だけ 酔い潰れた翠ちゃんに キスをした 実際、翠ちゃんに 恋愛感情はなかったのに ただただ 君が可愛くて 思わずしてしまったキス お酒のせいもあって 止められなかった あの時 抱いてしまいたいと思ったけど あまりに無防備に寝てるから手を出せなかったのが 事実 無理矢理抱いて 君に嫌われるのが怖かったのかもしれない でも 君にキスをしたのは 後にも先にもあれ一度だけ あれは 僕だけの秘密だから …君には内緒
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