君と見た空

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━11━ 『翠ちゃんっ!! 絶対…絶対お願いね!!』 『うん、わかったよ 大丈夫 ちゃんと見張っておくから』 仕事終りの職員ロッカー 私の腕には 小動物のような目をして しがみついてくる蘭ちゃん どうやら OB会に悠太君の元カノがいること 知ってしまったらしい ってゆうか 『悠太君が言ってたんだけど!!』 とか言ってたから 悠太君… 自分で自分の首… 締め上げたんだろう 何やってんだか… そんな事 言われたら心配になるの 当たり前なのに ばか正直なのは昔から…か 『あ…そういえば 翠ちゃんは 霧生先生と行くの?』 『ううん…友達 あ…悠太君の元カノじゃないからね』 “元カノ”の言葉に 蘭ちゃんはウルウルと瞳を揺らして 再び心配そうに顔を曇らせた 『うん… ね…翠ちゃん… 大丈夫…だよね…?』 『当たり前でしょ!! 昔は昔!! 悠太君がどれだけ蘭ちゃんを好きだと思ってるの? この間なんて 小児科の患者さんに わざわざ蘭ちゃんの手料理の自慢してたんだから… 小学生にだよ? 霧生先生と笑っちゃったよ』 『…うそ…っ… ちょっ… 恥ずかしいなぁもう…』 赤くした顔を 両手で押さえながら それでも嬉しそう 『だから大丈夫だって』 『…うん…そうだね』 漸く安心した笑顔を見せてくれた よかったぁ… 『翠ちゃんは…?』 『…ん?何が?』 『…ん~っと… 霧生先生の事… 昔からモテたんじゃないかな…って だから…心配…じゃない?』 ……………… 心配…か OBの中に付き合ってた女の子がいたような気はするけど 霧生先生を好きだった子はたくさんいたから 久々に再会して… なんてベタな展開 ないとは…限らない でも 『…心配だ、なんて口に出したら 好きって認める事になっちゃうよね…』 『…ダメなの?』 霧生先生にとって私は昔から 誰よりも仲良しの 妹みたいな女の子 今のままで十分じゃない 霧生先生にいい人ができたって… きっと大丈夫 『…うん…ダメ』 今のままの関係 壊れる方が… 怖いから…
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