君と見た空

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『遠藤君…早いよ…』 夜勤明けで寝ていた所に 激しく鳴り響くチャイムに起こされて まだ集合時間には 三時間もあるのに ギリギリまで寝られるように…って 駅まで車で行く約束した意味ないじゃない 『まだ寝ていたのか』 『だって… 昨夜緊急オペ…三本こなしたんだよ? 一つは腹部大動脈疾患 四時間かかったんだから… 終わったのが朝の六時 まだ寝ていたって バチは当たらないと思うけど』 部屋に遠藤君を招き入れながら またベットにダイブ 『…仕方ないな…』 ……うん 仕方ないからもう少し寝かせて 意識も朦朧として 寝れる…と思った瞬間 『ほら…出来たぞ』 テーブルに用意された珈琲 …起きろ…って事ね 時間には厳しい遠藤君 だからって… まだ間に合うってば でも こうなったら起きるしかない 『…ありがと』 眠気の覚めない頭を 必死で起こして 珈琲を一口飲んだ 『…ふぅ… よくわからないけど 美味しいよ』 『…そうか…』 満足そうに笑うから …怒れない 『…じゃ…これからゆっくり仕度するから 適当に待ってて?』 『…ああ、早くしろ』 早くしなくても間に合うって… これ以上反論するのも面倒だから 『…わかったよ』 大人しく言うことを聞くことにした ああ…そうか 遠藤君 久しぶりに良さんに会えるのが嬉しいんだ あんなに慕ってたのに 全く会ってなかったって言ってたし だからこんなに早くから… そう考えると …仕方ない…か そんな気持ちになった
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