君と見た空

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『あの先に見える店だよね?』 『ああ…』 なんだ…駅から案外近いじゃない そう思った時 ブブブ… メールの着信 【水木翠】 あ…翠ちゃん 着いたのかな… 受信メールを開くと 【霧生先生まだですか? 席…なくなりそうなんですけど】 ……え しかもまだ三十分も前 『遠藤君…早くしないと席 なくなっちゃうってさ』 『だから早く…と言っただろう』 だって… こんなに皆…張り切って来るなんて 思わなかった ガラ…ッ 『遅くなり…』 『わあっ!! 霧生さんっ!!遠藤さんっ!!』 『待ってたんですよ…っ!!』 何だろう…この盛り上がり 『こっち、空いてますよー!!』 このやたら盛り上がった状態に流されて 遠藤君と二人 促されるまま席に座らせられた 『純と遠藤君の人気は 何年経っても変わらないんだねぇ…』 目の前に座る良さんが にこやかに笑う 『良さん…お久しぶりです…っ』 『うん、遠藤君も元気そうじゃないか』 『はい…お陰様で 良さんもおかわりなく…』 嬉しそうな遠藤君を横目に 先に来てるはずの翠ちゃんを探すと 随分離れた所で 紗和ちゃんと一緒に 佐々木や矢田達といた その横に 少しだけ空いてたスペースは きっと僕達の為にとってくれてた場所だったのに ふと…僕の視線に気づいた翠ちゃんが 苦笑いで何か…言ってる 口の動きは多分… 【…仕方ないですね】 普段はなんて事ないこの距離が 今日は遠く感じるのは 何となく… 嫌な予感の前触れ
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