君と見た空

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『今でも恋愛対象じゃねーの…?』 ……っ… 佐々木さんの言葉は 今の私にとって 一番…厄介な質問 【違いますよ】 この一言でいいのに 言葉が…出ない 紗和も矢田さん達も 興味深そうに見てるのに 何か…言わなきゃ… でも…何で言う…? 頭の中で 必死に自問自答を繰り返す 『翠…? もしかして…』 勘ぐるような紗和の声に バレた… そう思った瞬間 『お前ら… まーた翠からかってんのかぁ?』 ……っ!! 『鮎川さん…っ!!』 『…ここ…座るぜー? 久しぶりだな…お前ら』 ビールを片手に 空いた席に腰を下ろすと 一人一人を見渡しながら 懐かしそうに微笑んだ 『遅いですよー… 待ってたんですから!!』 鮎川さんは 学生時代の紗和の憧れ 鮎川さんが大好きで 暇さえあれば いつもかまってもらってた 『鮎川さん全然変わりませんねー』 『相変わらず女に苦労してなさそうなオーラでてんですけど』 『…んなことねぇよ 中津も矢田も変わってねぇじゃねーか 佐々木は… …ん…? どうした? 何ボーッとしてんだよ』 『え…っ…あ… 何でもないですよ?』 ふと 我に返ったように顔を上げて 何でもなかったようにグラスを煽ると チラッ…と目が合った ……? 『…で…? 何、翠を苛めてたんだ?』 鮎川さん… 助かったと思ったのに…っ 何でまた蒸し返すんですか… 『えっと…ですね 今、現在 翠にとって霧生さんは恋愛対象か…?って話です』 ………………… 『…なるほどな』 鮎川さんが私を見る目は 何でも見透かされそうな気がして 何となく…目を逸らしてしまった でも 一瞬…笑ったような気がしたのは… 気のせい…? 逸らした視線の先には 霧生さんと… 元カノ…とかいう女の子が霧生さんの服を引っ張る姿 このタイミングで視界に入るなんて… 元カノ…か 話が弾むのは当然だよね… チクン… なんか… 胸の奥が…痛い…かも 今ならまだ… 引き返せるよね…?
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