君と見た空

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皆、随分飲んだみたいだね… どいつもこいつも マイクを離さない 『霧生さん? さっきは急にいなくなるから… 帰っちゃったのかと思って心配しました』 …葉瑠ちゃんか 僕の前にグラスを二つ置いて 隣に座る葉瑠ちゃん 『…どうして君が心配する必要があるの?』 『…霧生さんて… ほんと…翠さんにしか優しくないんだから… あれだけアプローチしても意味なし…』 諦めたような表情で 寂しそうに笑うと ふぅ…と溜め息をついた 翠ちゃん…か 翠ちゃんが佐々木と付き合ったら… もう…今までと同じようにはしていられない 昔のように… 妹みたいに接する事も… できなくなるよね 多分 僕の中に 嫉妬…みたいなものが芽生えてしまったから 僕が…普通に戻れない 『…葉瑠ちゃん?』 『…はい?』 『…もう一度… 付き合ってみる?』 『…え…っ…』 『…君が嫌じゃなかったら…だけど』 『……っ 嫌じゃないです…っ!! ……… 冗談…じゃない…ですよね…?』 『うん…本気』 涙を浮かべながら 確かめるようにすがり付いてくる葉瑠ちゃんの頭を撫でてあげると 嬉しそうに胸に顔を埋めてきた これで… …いいんだよね…
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