君と見た空

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『ねぇ翠? …そんなに嫌? 僕らと仕事するの』 『…ちがっ… 霧生さん達が嫌なんじゃなくて…… こんな大きな医療チームに入る事が…なんていうか…』 『…不安?』 『…は…い』 『大丈夫だよ』 『…大丈夫じゃありませんって』 『僕も鮎さんも付いてるんだし 翠ちゃんは 周りからの評価も高いし 今回の選抜は 実力と思っていいんだけどな』 『…私…やりこなす自信ない…』 『…医療チームは何よりも信頼関係が大事なのはわかるよね? 僕と鮎さんが誰よりも信頼できるナースは 君だけなんだけど』 『……………』 『…僕と一緒に仕事しよ?』 『……っ…』 あと…一押し…かな 『じゃあ…後で最高級のステーキご馳走してあげる』 『ほんとですか!?』 『もちろん♪』 『…おい…翠 お前…それでいいのかよ』 『…えっ…あ… ああー…っ…!?』 時々見せる 素直すぎる翠ちゃんの素顔 これが可愛くて 可愛くて…ねぇ 『これから一緒に 楽しく仕事しようね?』 『…はい…』 君は諦めたように コクン…と頷いた そもそも 翠ちゃんを呼んだのは僕 こっちに帰ってきてから 君の評価は度々耳に入ってきてたし 何より 医療チームは 信頼関係が絶対 だから 鮎さんと相談して 君をプロジェクトに参加させる事にした 一年前 この話を鮎さんから聞いた時 各科から集まるドクターの名前に 知った名前が多くて驚いたっけ だから このプロジェクトの発案者がすぐに分かった 医療チームは全員の息が合わないと いい仕事はできない それをよくわかっている人 我儘で自分勝手なあの人…ってね 鮎さんよりも一つ上 僕が大学一年の時 四年だった弓道サークルの先輩 『…おっ…純 今そこに土谷さんが見えたから きっとここに来るぜ? 遠藤も一緒だな』 鮎さんは窓の外を指差して 白衣のポケットからPHSを取り出した 『南さんか? ああ…みんな揃ったから 医局まで来てくれねぇか? あ…途中 放射線科で油売ってる悠太も引っ張って来てくれ』
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