君と見た空

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佐々木さんに言われた通り そのまま…動かずに じっとしていた めちゃくちゃ怒られるんだろうな… 今更…言い訳なんて思い付かないし そんなことを考えながら 十五分程たった時 向こうから来る車が 私の前で横付けされた 中から出てきたのが 佐々木さんだとわかって 立ち上がると 『翠』 『……すいませ…ん…っ』 ポスッ… ………?! 頭から被せられたフワフワのマフラー 『…こんな時間に…っ …風邪引くだろっ…』 『…あり…がとう ござい…ます』 こんなの…フェイント…だ 『…で… こんなに早く連絡してくるなんて思わなかったんだけど… …なんかあったのか?』 『…え…っ…あ… え…っと…』 ……なんて言おう… 正直…何にも考えてなかった ただ…強いて言うなら… 『…佐々木さんに癒されたかった…から…?』 ……かな 『……っ …おま…っ… そーゆー事… 急に言うな…よっ… 俺の気持ち知ってて… 反則だろ…』 片手で隠された顔は 耳まで赤くなっていた …ああ… この人は…私を想っていてくれる 私もきっと 好きに…なれる 霧生さんを…忘れられる 『…佐々木さん…』 『…あぁ…?』 『…私を… 彼女にして…くれますか?』 『……………… …霧生は?』 『……っ…』 佐々木さんはきっと… 気づいてる 私の…ほんとの気持ちを 何も言えない私の頭に 温かい手の温もり そして 指がゆっくり…髪を滑る …ふ…っと 佐々木さんが笑った …………? 『…わかったよ… 俺が…忘れさせてやる』 グイッ…と引き寄せられた身体が しっかりと抱き締められた 同時に 霧生さんに抱き締められた あの日の温もりを 思い出してしまう お願い… どうか…忘れさせて…
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