君と見た空

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いつもより長く感じた午前中が漸く終わって いつも通り食堂でランチをとっていると 向かいの椅子に人影 ………? 『翠ちゃんっ… ここいい…?』 見上げると 定食を持った蘭ちゃん 『いいよー… …あ…そういえば!! 悠太くん…OB会来てた? 見当たらなかったけど…』 店に着いてすぐに 周りを見渡したけど 悠太くんの姿が見えなかったんだよね… 『悠太君ね… あの日、急に熱が出ていけなかったの… 日曜日 せっかくお互い休みだったのに 付きっきりで看病だったんだよ…』 どうりで… 見当たらなかった訳だ でも… 『…なんか蘭ちゃん… 嬉しそう』 頬は膨らんでるけど 口許は…緩んでる 『…え…っ… そんなこと…あ…るかな だって…っ なんか頼りにされてるって感じで… そんなことでも… 幸せだなっ…とか思っちゃって…』 エヘヘ…って 恥ずかしそうに笑う蘭ちゃんは ほんとに幸せそうで 今の私にはまぶし過ぎる 『…いいなぁ…』 『…えっ…』 …あ… 思わず口から出てしまった本音 『…なんで? 翠ちゃんは 霧生先生がいるじゃない』 ……………… …言った方が…いいよね 『蘭ちゃん… どうせすぐに広まるだろうから…言っておくね 霧生先生には彼女ができて 私にも…彼氏ができた もちろんお互い別々の相手… 私達は…そんな関係じゃないから この先も』 蘭ちゃんの表情が 一瞬で曇った 『なにそれ…っ… だって…っ 翠ちゃんは霧生先生の事…っ…』 『蘭ちゃん!!』 『…っ!!』 『…言わないで…?』 言葉にしたら 辛すぎるから… 『…翠ちゃん… そんなの…っ… 絶対おかしいよ…?』 『おかしくないの…っ… …霧生先生にとって 私は妹以上には…なれないから 他の人と付き合えばいい…って… 言われたし』 『…嘘…っ…』 『…ほんと …だから…ね…?』 お願い… もう…前に進ませて…
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