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目の前の扉をこんこん、とノックする。
扉が分厚過ぎてノックの音が聞こえないのではないかと危惧したものの、
「はい、どうぞ」
中から聞こえてきたアルトの綺麗な声で、それも杞憂に終わった。
ガラッ
扉を開けて入れば、優雅に座って紅茶を飲む美人がひとり。
「あ、あなたは有栖先生ではないですか」
…もう何も言うものか。
「お前は副会長か?」
「ええ、はい。知らなかったのですか?」
「ああ。まあ、興味ないから」
「…僕たちに興味がないだなんて、面白いことを言いますね」
「いや、考えてみろよ。俺30。お前18。お前が生まれた時俺は中学生だぞ。興味ある方が気持ち悪いだろ」
「僕たちの顔に興味がなくても、家柄とか…」
「俺は今の暮らしで満足してる。」
バカにされた気分になって軽く睨むと、副会長は何故か顔を赤らめた。
なんだこいつ。
Mか?
「改めまして。僕は霧山学園の生徒会副会長、甚内遙といいます。」
「仁科有栖だ。」
「ふふっ、知っていますよ。」
余裕な笑みがムカつく。
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