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腕時計を眺めると、次の授業まで時間があることがわかった。
俺はそそくさと屋上へ向かった。
学園の敷地内で煙草吸えるところなんて、屋上くらいしかねーんだよな。
教師に支給されるシルバーのカードキーで、どうやら屋上は開けられるらしいからな。
カードキーの説明をしておくと、一般生徒のカードキーはブラックで、生徒会と風紀、教師はシルバー。理事長がゴールドキー。
シルバーキー以上で、図書室や屋上などの公共施設を開けることができるらしい。
詳しいことは俺にもよくわかっていない。
*
屋上に着くなり、早速煙草に火をつけた。
「っふー」
ニコチンが体に吸収されていく。
「いいな屋上。住みたい。」
誰もいないのをいいことに、アホなことを呟いてみた。
すると。
「先生、こんなところで何をしている?」
まさかの、先客がいたようだ。
「……」
無言で振り返ると、そこにいたのは銀髪の超絶イケメン。
なにこのこ。
てかなにこの学園。
美形しかいねーのかよおい。
「…ああ、自己紹介を忘れてはいけないな。俺は風紀委員長の松坂鈴之助だ。」
松坂鈴之助。
しかも風紀委員長と来た。
おかしいな。
こいつがイケメンすぎるのか?
鼓動がイカれてる。
「…三年Sクラス担任の仁科有栖だ。まあ、気軽に仁科先生と呼んでくれ」
むしろ呼ばれてみたい。
「俺もSクラスの生徒だ。今朝は仕事が忙しくて教室に顔を出せなかったが…有栖先生のクラスだったのか」
…。
泣かない。
俺強い子だから。
「…ああ、まあな」
松坂鈴之助の名前が名簿にあることは、今朝確認済みだ。
生徒会や風紀はさすがといったところか、ほとんどの生徒がSクラス所属だ。
ますます気が重い。
「お前はサボりか?」
「いや、忙しかったから少しだけ休息を取ろうと思ってだな」
「それをサボりっていうんだよ」
「…悪かったな」
「まあ、別にいい。俺には関係ないし、どうせお前もSクラスの生徒なら授業なんて出なくても赤点とったりしないだろ」
「…なんというか、有栖先生は先生らしくないな。」
「まあ、よく言われるよ」
お前も風紀委員長らしくないわ。
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