*宇宙からの刺客*

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資料の隅に貼られた付箋の内容は、こうだ。 ー生徒会顧問の杉下です。大変恐縮ではございますが、一身上の都合でひと月ほど休暇を頂きましたので、ひと月の間、生徒会をお願いしたく思います。こちらの資料は、来週転校してくる転校生の資料ですので、生徒会の役員にはどうぞよろしくお伝え下さいー 資料を見下ろせば、 【転校生 三枝理生】 顔写真と、前の学校を辞めた経緯などが詳しく記されていた。 顔写真を眺めて思った。 (…なんだこのマリモは) 明らかに鬘にしか見えない黒モジャの髪に、大きな瓶底メガネを掛けたその人物。 「……これは間違いなく面倒ごとだな」 頭を抱えたくなった。 「王道転校生ktkreeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!」 突然耳元で叫ばれる。 「っ、桐島お前、いきなり何だ!」 桐島は資料を盗み見ていたようで、恍惚とした表情で写真の人物を見つめている。 うげ… 「お前、こういうのがタイプなのか…?」 相手が男なのはあえてスルーだ。 「ちょ、やめてよ有栖先生!俺は傍観型の腐男子なんだからー!」 …腐男子? 腐男子って、あれか? 男同士のイチャコラを見るのが生きがいとかいう… 「…先生、そんなドン引きした瞳を向けなくても」 「いやこれは不可抗力だすまん」 「ところで先生、この転校生何年に転校してくるのー?」 「一年らしい」 「やっぱり王道だwktk」 「……」 「お願い先生死にたくなるからその視線やめて」 俺は桐島をさりげなく避けた。 「それじゃあ、授業始めるぞー」 「先生ったらドSなんだからー!」 …聞こえない。
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