*宇宙からの刺客*

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その日の放課後。 俺は再び生徒会役員室の前に立っていた。 …あーもう。 「入るぞ」 ノックするのさえ億劫で、俺は一言告げてドアを開けた。 「あれ?有栖先生ではありませんか」 中に居たのは、副会長の甚内と… 「……あ、りす先生」 図体の大きい銀髪の美形と、 「今や知らない人がいない仁科先生じゃないですか」 黒髪の平凡顔の生徒。 「ああ、2人に会うのは初めてですね。銀髪が書記の笹原夏貴で、黒髪の生徒が会計の村田西紀です。」 「さ、さはらで、す。…ありすせんせ、よろし…く」 「村田西紀です。よろしくお願いします。」 「ああ、ふたりともよろしく」 そして、 「有栖?何か用か?」 何様痛すぎ会長来栖。 下の名前は知らない。 「杉下先生が休暇に入っている間生徒会顧問を受け持つことになった。不本意だが。大変不本意だが。」 「二回も言わなくても…」 村田が苦笑いする。 「来週転校してくる生徒の資料だ。」 すぐそばに居た笹原に資料を渡す。 「…うぇっ」 資料の顔写真を見た笹原は、すぐにその資料を甚内に投げた。 「…これは………。潔癖性の夏貴には厳しいですね」 そういうことか。 確かに清潔感という言葉からはかけ離れた見た目をしてるからな、転校生の三枝理生は。 「当日は誰か迎えに行かせてくれ。以上だ。じゃあ。………っ」 生徒会役員室を出ようとすると、笹原が俺の腕を掴み、引き寄せた。 「なんだよ…」 ぎゅうう、と抱きしめられる。 「い、い匂い」 「それはよかった。でもいちいちそんなことで抱きつかれてたら俺の身が持たない。」 「…ごめん、なさ、い」 しゅんとした姿はまるで犬だ。 俺より10㎝は身長が大きそうなもんだが。 「…別に責めてるわけじゃない」 思わず頭を撫でてしまった俺は悪くないだろう。
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