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息を潜めて状況を見守る。
よく見れば、木陰に隠れて見えなかったところに、生徒会副会長の甚内が立っていた。
案内には甚内を寄越したか。
まあ妥当だな。
「ああ麗しい副会長様ぁぁ。にキスされるんだぞ王道転校生ぃぃ!」
こいつ、頭は大丈夫か。
しかし、目の前に広がる光景に言葉を失った。
「うんしょ、うんしょ……高えな、この門!」
転校生が門をよじ登っているのだ。
目の前に甚内がいるのに見えてないのか?嘘だろ。
とうの甚内も、唖然とした表情を浮かべている。
…アレは立派な不法侵入に値するぞ。
「……三枝くん、君は何をしているのですか?」
見兼ねた甚内が声を掛ける。
すると。
「うわ、っ!!!!」
転校生が門の一番上から落下した。マジか。
しかし、
ばふっ
「まったく…おかしな人が来たものです」
甚内がお姫様抱っこで見事転校生をキャッチした。
素晴らしい動体視力。
「なっ!離せよ!お前がいきなり声をかけるから落ちたんだぞ!謝れば許してやるからな!だって俺たち友達だからな!ところでお前の名前はなんだ?!」
……マジか。
語尾に!をつけずに話せないのかこのマリモ星人は。
甚内も心底嫌そうな顔してるし。
「…それは大変失礼致しました。僕は生徒会副会長の甚内遙と言います。よろしくお願いしますね、三枝理生くん。」
「おう!よろしくな!でもお前、そんな作り笑顔すんなよ!」
…マジか。
もう最早マジかしか言えない。
しかも甚内のは作り笑いというよりは世間をうまく生きて行くために必要な愛想笑いって感じだろうが。
なにあのマリモ。
デリカシーという言葉は持ち合わせていないのか?
「…僕の作り笑いを見抜いたのはあなたが初めてです。気に入りました、理生」
そう言って甚内は転校生の唇に…
うげ。
マジか。
ブシャアアアア
「っ?!」
甚内の奇行に驚いていると、隣にいた桐島が鼻血を大噴射した。
何だかこの状況…
カオス…じゃね?
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