*入学式*

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だらだらと歩いていれば、いつの間にか教室についていた。 きらっきらっのプレートに、三年Sクラスの文字。 あー… 面倒くさ。 俺はため息をついて、勢いよく扉を開けた。 「席つけー」 「えっ!このクラスの担任って仁科先生なんだ!」 「うおっ、勉強頑張っておいて良かったわー」 「先生抱いてくださーい!」 喧騒に包まれる空間。 頭がズキズキと痛む。 「…いーから席つけ」 Sクラスのくせに髪の毛色とりどりだな、こいつら。 中にはピンクや緑の毛色したやつまでいる。 日本人は黒髪が一番似合うに決まってるだろ。 全員が席についたのを確認して、口を開く。 「一年間このクラスを担当することになった仁科だ。…まあ、適当に頼むわー」 へらっと笑えば、教室が悲鳴で包まれた。 中には前屈みでトイレに駆け込む者まで。 お前らは学校で何をしてるんだ。 そこで、違和感に気付いた。 「…そこの席は?」 教室の窓側後ろ四つが空席になっていた。 「有栖せんせー、そこは生徒会の席だよー」 「そうか。てか有栖って呼ぶな」 声を上げた生徒の方に目を向ければ、そこにいたのは真っ赤な髪をした可愛めの美形。 「あー、お前は…」 「桐島志弦だよー」 …しづる? 随分和風な名前だな。 「あー、まあよろしくな」 「なんか有栖せんせーって適当だよねー。まあいいやー。よろしくねー」 語尾を伸ばさずに話せないのか。 ったく、最近の若いのは… (今年30です)
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