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「なぜだ…」
目の前には、煌びやかな装飾が施された扉。
傍には、金のプレートに堂々とした
【生徒会役員室】
の文字。
……どうしてこうなった?
*一時間前*
「有栖せんせー、初日から数学の授業やるなんて嫌だよー」
「安心しろー。今日は来月行われる新入生歓迎会の催し物を決めるだけだからなー」
入学式の前に渡された資料を見下ろす。
「クラス会議だから仕切り役つけねーとなー。委員長決めるぞ」
俺の言葉に、最前列に並ぶ生徒がスッと手を上げた。
あらあらまーまー、綺麗なフォーム。
「名前は?」
「久坂時雨と申します。」
「委員長に立候補ってことでいいんだなー?」
「はい。」
「他に立候補する奴はいるか?」
普段こんなにたくさん話さないから眠くなってきた。
職員寮の部屋で待機中の安眠枕ぐっすりんりん☆通称リンちゃんが恋しい。
なんて阿呆なことを考えているのは、顔には出さず。
「じゃあ、委員長は久坂に決定で」
俺の言葉に顔を綻ばせた久坂は、クラスメイトに向かって何度か礼すると、音も立てず座った。
おおおう…謎だな、こいつ。
「じゃあ早速だが久坂。新入生歓迎会の催し物を決める学級会を始めてくれ。」
俺は寝るから。
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