第3章 出逢い

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今の私はさぞ間抜けな面をしているだろう。 それほど驚いている。 お妙の言ったことは、私が言おうとしていたことと一言一句違わなかった。 それに加え、私に“志”と言うのかはわからないが“成すべき使命”があることを見抜いていた。 それらしきことを口に出したことなど一度もなかったのに、だ。 返す言葉もないとはこのこと。 押し黙るしかなかった。 女将「兵藤はん。殿方にただの女がどうこう言うのはさしてがましいとは、思っとります。 せやけど、言わせてくださいな。 あんさんがお妙の言っとったことを思っとったなら、大きなお世話や。 そんなに弱ない。 なぁ、気づいてはりましたか? 兵藤はんが来てくれはってからここら一帯の治安がようなったことに。 あんさんは、もう十分頑張ってくれた。 十分すぎるほど働いてくれた。 ありがとうな。おかげで商売がしやすくなった。 もう十分、十分や。 これからは人のためやなく自分のために動いたらええ。 やりたいことが、志があるんやったら遠慮なんかしたらあかん。 一度きりの人生や。 あんさんはこんなところで終わるような方やないで。」
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