日常

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「あ、夏夜さんお疲れ様です。」 「笹沼さん。お疲れ様です。」 終業後、更衣室から出てすぐに会ったのは同期の笹沼稔夜。 「相変わらずだね。稔夜でいいって言ってるのに。」 「でもやっぱり苗字にさん付けじゃないと社会人のマナーとしては…。」 会社の人間と話すときは、例え同期でも苗字にさん付け、敬語で、と高校のときに習った。 プライベートならそれも必要ないのだろうが、一応社の敷地内にいるため、やはりここは立場を弁えるべきだと思うのだ。 「はいはい。まだ会社だから、とか思ってるんですよね?」 「…はい。」 苦笑する笹沼さんは、さすがに5年目の付き合いというだけあってよくわかっている。 それに呼び名こそ下の名前だが、笹沼さんだってさん付けだし敬語だ。 「まぁいいや。今夜、この後何か予定はありますか?」 「ありません。」 2年前から独り暮らしだから特に何かに縛られるということはない。 ましてや今日は金曜日。 多少の用事なら土日に回してしまえばいいのだ。
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