5人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、夏夜さんお疲れ様です。」
「笹沼さん。お疲れ様です。」
終業後、更衣室から出てすぐに会ったのは同期の笹沼稔夜。
「相変わらずだね。稔夜でいいって言ってるのに。」
「でもやっぱり苗字にさん付けじゃないと社会人のマナーとしては…。」
会社の人間と話すときは、例え同期でも苗字にさん付け、敬語で、と高校のときに習った。
プライベートならそれも必要ないのだろうが、一応社の敷地内にいるため、やはりここは立場を弁えるべきだと思うのだ。
「はいはい。まだ会社だから、とか思ってるんですよね?」
「…はい。」
苦笑する笹沼さんは、さすがに5年目の付き合いというだけあってよくわかっている。
それに呼び名こそ下の名前だが、笹沼さんだってさん付けだし敬語だ。
「まぁいいや。今夜、この後何か予定はありますか?」
「ありません。」
2年前から独り暮らしだから特に何かに縛られるということはない。
ましてや今日は金曜日。
多少の用事なら土日に回してしまえばいいのだ。
最初のコメントを投稿しよう!