当たり前な日常である。

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通学路を僕と吹子は歩いていた。 季節的に、時期的にみても去年よりじっとりした暑さがまとわりつく、お思わず、学ランの詰め襟を指で広げて、一番上のボタンを外し、パタパタと風を送り込む。地球温暖化というやつだろうか。日本は四季がはっきりしてると思っていたけれど、最近では夏と冬しか感じないのは不思議だ。節電にしないといなけない 「暑いね、衣替えが早くしてくれないかな」 真横を歩く吹子も、同じようにパタパタと風を送り込んでいるようだ、胸元がまぶしいね。チラチラと視線をこっそり送って。 「衣替えって、どうせ、男子生徒の制服なんだろ?」 「当然」 即答されつつ、まぁ、薄着になるだけいいかと思う、中学生時代に夏は半袖を着ることを当たり前だということを嫌い、ずっと長袖、長ズボンにマフラーにニット帽の厚着で過ごし、熱中症でぶっ倒れ、冬になればその逆でずっと半袖、半ズボンと麦わら帽子を貫き通し、風邪を引いてぶっ倒れたのだから、さすがに学習したのだろう。その度に看病するはめになる僕の苦労も報われてほしいものだ。ただ、こんなアホな幼なじみが学年トップの天才児だから世の中、間違っている。本日、何度目かわからないため息をつこうとして、シュッと真横を何かが通り過ぎて行って、すぐにけたたましい、ブレーキ音が聞こえた。 「相変わらず、校則違反をしているようね!! 佐志吹子!! それと、えっと可菊圭一?」 マウンテンバイクに跨がって、左右に髪を結って短めのツインテール、特徴的な大きめの白いリボンを揺らし、残念賞と言いたくなる平坦な胸の女の子が吹子を指差す。僕をついで扱いするの流行ってるのかな、若干、忘れられてた感があった。涙腺、緩くなったな、僕でも、泣かないもん。
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