当たり前な日常である。

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けれど、恵のお説教は終わらない、彼女のお口は一度、開くとなかなか閉まらない。雑音を奏でるオンボロスピーカーよりたちが悪い、だって、スピーカーは電源を切ればいいし。 「兄上がミステリー系統のライトノベルや推理小説を好んで読んでいることは知っています。別にやめろとは言いませんですが、そういう頭の痛い発言は慎んでください。同じ高校に通う以上、クラスメートから可菊さんの兄上ってどんな人? などと聞かれた場合、どうしたらよいのですか? わかっていますか? 」 口の周りにバターやら、砂糖、ジャムをべったりとくっつけた状態でお説教という特殊な状況に口出しするべきか迷いつつ、無言はダメだと口を開く。 「いや、さすがに学校じゃそんなこと言わないって、でさ、恵のクラスメートに僕はどう思われてるのかな?」 一応、弁解してみても勝てないことは明白で、さりげなく話題をずらす。 「恵ちゃんのお兄さん彼氏いるの? つい、三日前ほど鼻息荒く聞かれました」 そらした先は地雷だった、待て、文脈がおかしい、その場合は彼女が正しい。 「付け加えるなら、受けか攻めかと」 「オッケー、わかった、恵、友達は選ぼうな、その子、脳味噌腐ってる」 俗に言えば、腐女子というが純真な恵は腐らせない、腐女子という言葉も不要だ。知らなくていい。 「兄上の脳味噌は壊れてますね」 「そうだね、恵ちゃんの兄上の脳味噌は壊れてる」 「なんでいる、いや、いつから居た?」 さりげなく、当たり前のように、俺達、兄妹の和やかな食卓に挨拶もなく、僕のトーストを食い散らかす乱入者を発見。
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