四日目

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というわけで、 商店街。 結構栄えた街で、 裏通り入ると御用達のホテル街。 かなりご無沙汰だけど。 もう5年くらい? 人の間を縫って、適当にお買い物。 コロッケ、チョリソー、納豆、カップ麺。 彼女はというと、 死神に戻っちゃったけど。 頭巾かぶってウロチョロ。 人の波?そんなのカンケーネー! すごい便利、羨ましい。 もう帰るよ、て言ったら これ食べてみたいって指した先には ミタラシ団子。 「魂に似てる」 へー、すごい勉強になる。 似てるから食べたいんだ。 そこは100歩引いても死神? じゃあ4本買ってみる。 帰るあいだ、 「ねー食べようよー、ねー食べようよー」 僕のTシャツ、デロんデロん。 引っ張りすぎ! そしたら向こうから、 いかにも怖そうなお兄さん。 すれ違いざまにドンっ! て、僕、ぶつかってないよね? 「テメー! どこに目つけてんだ! 黒頭巾ヤロウ!」 て、え?、え?、え? 気づいたときには、 僕の彼女が路肩にうずくまってた。 「おい、待てよ」 ギロリ鋭い眼光。 だからどうした。 死ぬ気になれば何でもできる。 距離詰めたら 僕より10センチくらいデカい。 だからどうした。 「んだ!、テメーh」 言い終わる前に、右ストレート。 結果、ズタボロにされたけど。 口とか目とか腹とか、 というか全身痛い。 あと10日の命だし、 まあ……いっか。 商店街の真ん中で、 壁に寄り掛かってる。 ちょっと、 すぐには歩けなさそう。 雑巾にもならないTシャツ。 通り過ぎてく市民の目が、 哀れんでいるような、 すげさんでいるような。 でもな、 貴様らに見えないだろうが、 僕の目の前には、 世界で一番キレイな瞳があるんだ。 「大丈夫?」 なんてこった。 死神に心配された。
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