六日目

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今まで、 食べる意欲すらなかったクセに、 いまレンタカー予約した。 「どこいくのー、どこいくのー」 目の前をふわふわしてるのは、 下ろしたてのブラウスと デニムのショートパンツ姿の 僕の死神。 余命8日。 もう何も怖くないよ。 車に乗って、 一見おひとり様で、 ネズミが統治する夢の国の港。 入り口に着いた途端、後悔した。 首輪でもつけとけばよかった。 遠くに見えたネズミの彼に一目惚れ? まだ入園してないのに、 これじゃあホントにおひとり様。 ネズミの背中にしがみつく彼女。 「鎌の気持ち、わかったよ」 ポップコーンとか買ってみたり、 チュロスとか買ってみたり、 そのたびに 「なにこれー! おいしいー!」 て、キラキラの顔。 「じゃあ、なんか乗ってみるか」 「なにー? 乗るってなにー?」 人間界の恐怖を教えてやろう。 お馴染みの、 ビルの上から落ちるヤツ。 でもすぐに後悔。 浮いてるもんね、 怖いとかないよね。 席が取れるわけないし。 僕が一番端だったけど、 さらに向こうに彼女はいる。 でも、出口きたら。 まんざらでもない。 「みてみてー わたし写ってるー」 すごい! 心霊写真!? 服装がかなりカジュアルだけど。 ちゃんと、 僕の首にしがみついてた。
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