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ただ、その次の言葉はあたしとはまったく違っていた。
「面白そう!」
「は?伊織?」
「確かにこれなら三人で何とか出来るな!」
「は?兄貴?」
何を言ってるんだ?
「よーし、美奈子!荷物まとめろ!伊織もだ!」
「は?ちょっと待てって!」
「姉ちゃん往生際が悪いよ?」
そんな覚え立ての言葉を言って、伊織はさっさと自分の部屋に向かってしまった。
「ほら、美奈子も!」
「待てよ!住所通りだと引っ越さなきゃダメじゃん!」
あたしだけ頭がついていかない。
「これ、最後まで読めよ…。」
あたしは言われた通り見た。
「そうそう、学校にはもう言ってあるからね。転入先も決めてるから~。皆頑張ってね!」
「ふざけんなよ…。」
思わず涙が出そうになった。
そんなあたしの頭を兄貴は優しく撫でてくれた。
突きつけられた現実が、あたしにはつらかった。
あんな動物園、どうでもいいはずなのに…。
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