地の刻(1日目)

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あたしが中央ホールに戻ると、あたし以外のみんなが難しい顔をして唸っていた。 「…どうしたの?」 「白いプレートの部屋の人たちの事です。つまり、敵チームと呼んだらいいのか…」 委員長の言葉にハッとした。 そうだ。あたしが抱えていた違和感の正体は、それだった。 12のケダモノと書かれているのに、ここには6人しかいない。 閉じた部屋が6つあるんだから、そこに残り6人の人間がいると推測出来る。 …ゾッとした。 あの閉じられたドアの奥に、人がいるんだと思うと…。 一体、どんな人達が?もしかして、あたしたちを誘拐した奴らじゃないのか? 「もし、仮に、出会ってしまったら、どうすればいいの?…あたし、ケンカとかしたことない…。」 「バカ?時計をご覧なさいな。」 三神静にまたバカ呼ばわりされた。 「説明書きによれば、天のチームの連中は基本的に地の刻にはドアの外に出られない。 ドアが強制ロックされるとある。 …ただし、例外がある。例えば、1時から2時の間。 短針が"子"を指してるでしょ? この時、たとえ地の刻であっても、"子"の部屋のドアは中から解錠出来る。 …つまり、相手も我々に会いたいとは思ってないわけ。ドアが開かないでしょ?」 三神静が"子"の部屋を指差した、まさにその時だった。 ガシャッと小気味いい音が響いて… "子"の部屋のドアがスーッと開いた。 あたしたちは固唾を飲んで見守った。 一体、どんな大男が飛び出してくるだろうか? あたしたちみたいな小娘6人くらい、片手で捻り潰しちゃうかも… しかし、現れたのは… 「どうも、どうも!皆さん!!」 小学生?いや、ひいき目にみても中学生だろうか? 背の低い女の子が、場違いな明るさで現れた。 「さすがは冬馬ちゃんだなぁ! こっちのメンバー、ほとんど言い当ててるわ。 …あれ、イノッチ!こっちのチームだったんだぁ! うわぁ残念!!」 ポニーテールをユラユラ揺らし、なれなれしく猪ノ瀬弥生の腕にぶら下がる。
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