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しかし、三神静の考えは違うようだ。
「あちらのチームに本当に冬馬瑞季がいるなら、黙って傍観してるはずがない…彼女は必ず何か手を打ってくるはず。」
確かにそう。
もし、あたし達が何も出来なかった場合、ルールによれば全滅なのである。
全滅=死ということになるのかな…いまいち、実感が出来ないけれど。
「てかさ、どうする訳よ、実際?
…うちらこのゲームから降りる権利もないわけでしょ?
みんなはマジでやんのかよ?こんな狂気としか思えないゲーム…」
鳥澤はドカッと椅子に座ると深い溜め息をつく。
「…そうね。ゲームに参加するってことは、つまり、その時点で我々が、このゲームの運営側に白旗を振ったことになる。…なんかムカつく。」
三神は爪を噛んだ。
あたし達は、一体何故、こんなゲームになかば強制的に参加せねばならないのか?
こんな理不尽があるのだろうか?
「ねぇ…」
猪ノ瀬が思い出したように言った。
「遅くないか?委員長とかいう子。」
「!!」
その言葉に、三神は弾かれたように立ち上がった。
三神が動き出す前に、影堂カナが風のように走る。
"丑"の部屋だ。
やや遅れて、あたしと鳥澤、猪ノ瀬が部屋の前に到着する。
カナは自分のカードでドアを開けた。
ロックされてなかったらしく、ドアはスーッと開く。
「チッ、やられた!」
三神が舌打ちする。
「マジかよ…これ!マジでやったのかよ!!信じらんねぇ…」
鳥澤楓は突然両手で口を押さえると、そのままその場にうずくまった。
「だ…大丈夫?」
あたしは彼女の背中をさする。
「あ、ありがと…見ない方がいいかも…あんたは…」
遅かった。
まず先に、あたしの目に映ったのは、生白い2本の棒のようなもの。
空中にユラユラ揺れていた。
それが人間の脚だと分かるのに、時間はかからなかった。
さらに上を見上げると、委員長…牛久実香の変わり果てた姿がそこにあった。
「な…」
何故?
「こ…」
こんな…こんな事が、許されるの?
どうして委員長は、宙にぶら下がっているの…
どうして、こんな目に遭わないといけないの…?
どうして!?
「おかしいよ…こんなの。酷すぎるよ…こんな…」
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