地の刻(2日目)

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昨日まで、委員長は確かに生きていた。 こんなゲームに参加させられて、心底怯えきっていた。 頭がよくて、面倒見がよくて、思いやりがあった。そんな…そんな彼女がどうして? どんな罪でこんな事に? 彼女の何が悪かったというの? 「くっ…!」 三神静が奥歯をギリギリと鳴らした。 「冬馬を見くびってた…いや、信じてた…愚かにも…私は。」 「まだ冬馬がやったと決まったわけじゃないよ…このままじゃこの娘が可哀想だ。手伝ってくれるね?」 猪ノ瀬の号令で、あたし達はノロノロと動き出す。 長身の猪ノ瀬と鳥澤が委員長の身体を支え、あたしと三神、カナが天井のパイプから机の脚に渡されたロープ(おそらく根岸凛を拘束するために作ったものと一緒だ)をはずし、ゆっくりと下ろしていく。 猪ノ瀬たちは委員長の身体をベッドに寝かせると、顔にタオルをかけた。 あたし達は無言で十字を切る。 先に沈黙を破ったのは三神だった。 「悪いとは思うけど、委員長を少し調べさせてもらう。」 誰も返事はしなかったが、三神の言いたいことは理解出来た。 「カード…」 鳥澤楓はハッとした。 「委員長のカードだよ。奴らに奪われちゃったかな!?」 「…おそらくね。皆で手分けして部屋を探しましょ。」 三神も苦い表情だ。 カードを奪われたら、あたし達のチームは不利になる。 「宇崎さん、委員長と親しかったでしょ? 彼女のカードの事…何か聞いてない?」 三神の質問にあたしは首を横に振った。 「彼女とは、クラスが一緒なだけ。 特に親しいわけじゃなかった。 それに、委員長はおっとりしてるように見えて、かなり神経質なの。 自分のカードの内容は誰にも教えていないと思うけど。」 「だといいわね。…神経質か。カードの文字を削り取ったかもしれないわね…むしろ、そうしてくれてるとありがたい。」 三神は一人言のように言うと、委員長の遺体を調べ始めた。 「首に爪の跡がくっきり残ってる…絞殺されてから吊るされたようね。」 あまり見たくはないが、つい三神の言葉が気になって、そちらに目がいってしまう。 委員長の首にはロープの跡と、爪が食い込み、数ヶ所血がにじんでいる部分があった。 「強い力で首を絞められたんだ…普通じゃない…何か恨みでもあったのか?この娘に?」
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