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昨日まで、委員長は確かに生きていた。
こんなゲームに参加させられて、心底怯えきっていた。
頭がよくて、面倒見がよくて、思いやりがあった。そんな…そんな彼女がどうして?
どんな罪でこんな事に?
彼女の何が悪かったというの?
「くっ…!」
三神静が奥歯をギリギリと鳴らした。
「冬馬を見くびってた…いや、信じてた…愚かにも…私は。」
「まだ冬馬がやったと決まったわけじゃないよ…このままじゃこの娘が可哀想だ。手伝ってくれるね?」
猪ノ瀬の号令で、あたし達はノロノロと動き出す。
長身の猪ノ瀬と鳥澤が委員長の身体を支え、あたしと三神、カナが天井のパイプから机の脚に渡されたロープ(おそらく根岸凛を拘束するために作ったものと一緒だ)をはずし、ゆっくりと下ろしていく。
猪ノ瀬たちは委員長の身体をベッドに寝かせると、顔にタオルをかけた。
あたし達は無言で十字を切る。
先に沈黙を破ったのは三神だった。
「悪いとは思うけど、委員長を少し調べさせてもらう。」
誰も返事はしなかったが、三神の言いたいことは理解出来た。
「カード…」
鳥澤楓はハッとした。
「委員長のカードだよ。奴らに奪われちゃったかな!?」
「…おそらくね。皆で手分けして部屋を探しましょ。」
三神も苦い表情だ。
カードを奪われたら、あたし達のチームは不利になる。
「宇崎さん、委員長と親しかったでしょ?
彼女のカードの事…何か聞いてない?」
三神の質問にあたしは首を横に振った。
「彼女とは、クラスが一緒なだけ。
特に親しいわけじゃなかった。
それに、委員長はおっとりしてるように見えて、かなり神経質なの。
自分のカードの内容は誰にも教えていないと思うけど。」
「だといいわね。…神経質か。カードの文字を削り取ったかもしれないわね…むしろ、そうしてくれてるとありがたい。」
三神は一人言のように言うと、委員長の遺体を調べ始めた。
「首に爪の跡がくっきり残ってる…絞殺されてから吊るされたようね。」
あまり見たくはないが、つい三神の言葉が気になって、そちらに目がいってしまう。
委員長の首にはロープの跡と、爪が食い込み、数ヶ所血がにじんでいる部分があった。
「強い力で首を絞められたんだ…普通じゃない…何か恨みでもあったのか?この娘に?」
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