地の刻(1日目)

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"神は七日間生き延びたケダモノの命を赦すと仰せられた。 しかし、神の空腹を満たすためにケダモノたちは毎日1匹ずつ生け贄を差し出すこと。 このルールは絶対である。 尚、ルールに従わぬ場合、ケダモノたちは残りすべての命を差し出し、神のお怒りを鎮めなければならない。" 「…ねぇ?」 鳥澤は全員を見渡して言った。 「ふと思ったんだけどさあ…。"ケダモノたち"って、あたしらの事?…アハハ、まさかねぇ。」 笑いが引きつっている。 「私もそれ、考えてました。」 委員長が真面目な顔で頷いた。 「ここには"ケダモノ"にまつわる部屋も有りますし。 部屋は全部で12。私たちは6人しかいませんけど…。」 「神云々とか飛ばして、後ろの方の、細かいルール読んでみな。」 三神が怠そうに口を開いた。 「1日24時間を12時間ずつ2つに分けて、前半を天、後半を地の刻と呼ぶらしい。 我々はおそらく地の刻側にいる。」 頭の構造が違うのはよーく分かるけど、あたしにも理解出来るように説明して欲しい。 「ああ、これね。」 鳥澤が手紙の後半部分をテーブルに拡げた。 図解だと分かりやすいけど、残念ながら全文章、文字の羅列である。 「この部分だよ。…短針が午前0時から正午12時まで動く間を天の刻、そこから再び午前0時に戻るまでを地の刻…分かった?」 鳥澤って意外と面倒見がいいのかな? 天井に張りつけられた例の変わった文字盤の大時計を指差しながら、丁寧に説明してくれた。 「う、うん。何となく。でも何故あたしたちが地の刻側だと分かったの?」 あたしは三神に尋ねた。 彼女は面倒くさそうに答えた。 「我々側のプレートは全部黒でしょ。 で、委員長が"丑" 、あんたが"卯"の部屋だって、さっき大声で騒いでたわよね?」 いちいち突っかかってくるなあ…まあそれが、三神静なのか。 「十二支は普通、"子"から始まるでしょ。 それから1つ飛ばして"寅"。 …つまり、今閉ざされてるドア…白いプレートの部屋は天の刻には開くの。 逆に黒いプレートの部屋のドアは閉まる。」
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