地の刻(1日目)

9/12
前へ
/86ページ
次へ
ええと。…この感覚は何だろう?三神の言うことは頭では理解出来る。 でも、何か大事な事をあたしは見落としてる。 それが、無性に怖い。 一体、何を見落としている…? 「私達を誘拐して、ここに連れてきた方々の目的は分かりませんけれど、つまり、私達にゲームを戦えって事なのでしょうか? この、生け贄って、どういう意味なんでしょう?」 委員長は手紙を何度も読み返している。 確かに、あまりに抽象的過ぎて、具体的にあたしたちがどんなゲームを戦うのか、敗者が生け贄?というモノにされてしまうのか、よく意味が分からない。 「…あとはこのカードですけど、一体どうやって使うんでしょう?」 委員長はスカートのポケットから、テレフォンカードくらいの大きさの白いカードを取り出した。 あれは部屋のカードキーだろうか? 多分そう。それ以外に使い道が思い当たらない。 「委員長、それ、どこにあったの?」 あたしは見落としたんだろうか?全部探したはずなんだけどなあ…。 「ふふ。宇崎さんは見つけられなかったですか?ちょっと分かりにくい場所にありましたよ。」 委員長は悪戯っぽく笑う。 「まあ、ちょっと見、分かりづらいかもね。」 鳥澤もカードをヒラヒラさせている。 「宇崎さんだっけ?あんた天然バカなの?」 三神は酷いことを言うが言い返せない。 見れば、猪ノ瀬やカナまでカードをヒラヒラさせている。 …嘘。あたしだけ、カードを見つけられなかったと言うの? 「大丈夫。この手紙にも書いてありますけど、カードは机の引き出しの中ですよ。2重底になっているんです。」 委員長の助言に、あたしは慌てて部屋に戻る。 引き出しをもっと注意深く見ていれば分かったはず。 材質が新しい。いかにも後からこの机に取り付けられた感じだった。 引き出しを開ける。メモ帳とボールペンがそのまま入ってる。 引き出しの外側を押さえたまま、中をスライドさせると、下にカードが貼りついていた。 「あ…あった!」 白いカードには"卯"の文字が印字されていた。裏返すと、細かい文字で意味不明な事が書いてある。 試しに、ドアのスロットにカードを通してみた。 ドアが閉まる。再び通すとドアが開いた。 やはりカードキーで間違いない。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加