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ええと。…この感覚は何だろう?三神の言うことは頭では理解出来る。
でも、何か大事な事をあたしは見落としてる。
それが、無性に怖い。
一体、何を見落としている…?
「私達を誘拐して、ここに連れてきた方々の目的は分かりませんけれど、つまり、私達にゲームを戦えって事なのでしょうか?
この、生け贄って、どういう意味なんでしょう?」
委員長は手紙を何度も読み返している。
確かに、あまりに抽象的過ぎて、具体的にあたしたちがどんなゲームを戦うのか、敗者が生け贄?というモノにされてしまうのか、よく意味が分からない。
「…あとはこのカードですけど、一体どうやって使うんでしょう?」
委員長はスカートのポケットから、テレフォンカードくらいの大きさの白いカードを取り出した。
あれは部屋のカードキーだろうか?
多分そう。それ以外に使い道が思い当たらない。
「委員長、それ、どこにあったの?」
あたしは見落としたんだろうか?全部探したはずなんだけどなあ…。
「ふふ。宇崎さんは見つけられなかったですか?ちょっと分かりにくい場所にありましたよ。」
委員長は悪戯っぽく笑う。
「まあ、ちょっと見、分かりづらいかもね。」
鳥澤もカードをヒラヒラさせている。
「宇崎さんだっけ?あんた天然バカなの?」
三神は酷いことを言うが言い返せない。
見れば、猪ノ瀬やカナまでカードをヒラヒラさせている。
…嘘。あたしだけ、カードを見つけられなかったと言うの?
「大丈夫。この手紙にも書いてありますけど、カードは机の引き出しの中ですよ。2重底になっているんです。」
委員長の助言に、あたしは慌てて部屋に戻る。
引き出しをもっと注意深く見ていれば分かったはず。
材質が新しい。いかにも後からこの机に取り付けられた感じだった。
引き出しを開ける。メモ帳とボールペンがそのまま入ってる。
引き出しの外側を押さえたまま、中をスライドさせると、下にカードが貼りついていた。
「あ…あった!」
白いカードには"卯"の文字が印字されていた。裏返すと、細かい文字で意味不明な事が書いてある。
試しに、ドアのスロットにカードを通してみた。
ドアが閉まる。再び通すとドアが開いた。
やはりカードキーで間違いない。
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