1.藍色 森川美尋

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そして、私は少女漫画が苦手だ。 お金持ちのかっこいい男の子が、平凡で取り柄のない自分を好きになる。 俺様なモテるクラスメイトがある日いきなり自分にアタックしてくる。 ずっと近くにいた幼なじみがどんどんかっこよくなってきて、でも自分のことを昔から一途に思ってくれている。 これは優菜子が無理矢理読ませてきた少女漫画の内容だが、どうしても私には現実離れしすぎているように感じる。 確かに不可能ではないと思うけど、まず私の周りにそんな男性はいないし、ましてや自分は少女漫画の主人公が持っているような素直さやかわいらしさがない。 結局大量の少女漫画は最後まで読むこともなく、優菜子に返していた。 そして優菜子がまた私に押しつけようとしてきても、そう悟ってからは一度も受け取ることはなかった。
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