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「ああ、そういえば。」
基礎練の最中、翔一が口を開いた。
「2chで見たんですけど…貧乳好きは、甘えん坊で、ロリコンらしいっす。」
何を隠そう彼は貧乳好き。
「いや、甘えん坊は認めますよ。甘えん坊は」
口を尖らせながら文句を言い始める翔一。
「でもロリコンって!」
「いや、結局貧乳って、身体が発達しきってない子供に見えるだろ? だからロリコンって言われんじゃね?」
私は思ったことをそのまま口にした。しかし、あっさりと否定される。
「いやぁ、科学的に証明されちゃったらしいっす」
「まじ?」
と、そこへ十兵衛が突然
「ああ、だからしょーちゃんは貧乳なんだね」
…一瞬、耳を疑った。が、確かに彼女はそう言った。
私「…え?」
十「貧乳に憧れすぎたから、貧乳のまま胸が成長しないんですよ!」
翔一の部活内での扱いがお分かりいただけただろうか。
彼は身長の割には線が細く、また内股である。男子なのに。ついでに言うと、そこら辺の女子なんかよりよっぽど料理が上手い。男子なのに。
1年の時強制的に女装させられかけたくらいに、女子力の高い男子なのだ。
さらに十兵衛の【女の子扱いいじめ】は続く。
十「なぜお前は男の制服を来ているのだ!」
翔「ワタクシはmanですから!!」
「もう関わるなよしょーちゃん…どうせこれ、また無限ループオチだろ?」
呆れた武がそう声を掛けたが、一度スイッチが入ってしまった翔一と十兵衛は止まらない。
翔「男だから!」
十「いやいや、しょーちゃんは女のコでしょ?」
翔「違うわっ! つーか、セクハラの件はどーなってるんだ!?」
男が女からちょっかいを出されることもセクハラと呼んでいいのかと少々疑問だが、うちの部では十兵衛→翔一へのセクハラまがいの行為が日常的に行われている。
何度やめさせようとしても変わらないのでこの行為は部内では黙殺されているのだが。
十「セクハラ? 女のコ同士なら問題ないでしょ。」
翔「…へぇぇぇぇ!」
悲鳴ともため息ともつかない声を出したのち、翔一は机に突っ伏した。
翔「…俺の事いじめんの、そんなに楽しい?」
十「うんっ!」
…この時の十兵衛の笑顔といったらもう。
文字通り、満面の笑みだった。
翔「…はい、ありがとう。」
翔一、今日もまた戦意喪失。
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