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人が恋に落ちる瞬間というものを、あなたは見たことがあるだろうか。
私は、一度だけそれを目撃したことがある。
あれは、私が高校2年の春。部活の仮入部期間中の出来事だった。
その当時部員数3名というもはや同好会レベルの我が演劇部に、珍しく10人以上の新入生が見学へやってきた。
その中には武と博臣、そして、十兵衛がいた。
十兵衛と博臣は、はたから見てもすごく馬が合っていた。
出会ってすぐだというのにあっという間に打ち解け、ことあるごとに二人だけで盛り上がる。
そして、いつの間にやら二人だけの世界を作り上げていた。
私はそんな二人に構っているのが面倒くさくなり、放置す
ることに。
すると。
「そういえばさー、柳生って何組?」
「私?私は4組。」
「え、4組?」
「うん。相馬くんは?」
「俺も、4組。」
瞬間、二人の周りの空気が変わった。ように見えた、私には。
同じクラスだったにも関わらず、二人は教室内ではお互い全くもってその存在に気がつかなかった。
それなのに、同じ部活に見学にやってきて、出会った。
運命の出会い、といったところだろうか。
二人がそのまま付き合い始めたのは言うまでもない。
…まさか、あんなバカップルになるとは、その時は誰も思わなかったが。
二人のバカップル具合は、また別の話で。
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