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夏場の部活は長い。
終わるのは定時なのだが、みんなが部室にたむろってなかなか帰らない。
その日は確か、翔一と武、私の三人が部室に残って駄弁っていたんだと思う。
翔「そーいや武、あれって先輩に見せたの?」
武「ああ!」
私「え、何?」
武はおもむろに立ち上がり、通学用のスクールバックを背負った。そして、両腕をクワガタの角のように曲げ、前傾姿勢になってどや顔で私を見る。
私「…え?」
訳がわからないという顔の私に向かって、武は満面の笑みを浮かべ、
武「ゲノセクトですよ、先輩!」
堪えきれなくなった翔一が盛大に吹きだす。
私はもう、打つ手なしだった。
だから、
私「…ああ、すごいな」
とだけ答えておいた。
武は満足そうだった。翔一の腹筋は崩壊寸前だった。
こうして、演劇部の夏の夕日は沈んでゆく。
…私がポケモン知らない人だったら、どうするつもりだったんだろう。
ちなみに。
私はその当時、ゲノセクトがどんなポケモンなのか知らなかった(笑)←
※ゲノセクトとはポケモンの一種で、背中にバズーカのようなモノを背負っている奴です。
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