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羅刹は人間を餌に生きる。
そんな常識は誰しもが知っていることだ。
だが実際にその光景を目の当たりにするのは初めてのことだった。
人間の肉を引き千切り、手や口を鮮血で赤く染めるその光景はあまりにも衝撃的で、悲惨なもの。
血の海に沈む人間の剥き出しになった臓器がリュウセイとガウの吐き気を誘った。
呆気に取られて立ちすくむ2人におもむろにクオンの視線が注がれる。
クオンの白い肌を染色する鮮血と同じ色彩の瞳が2人を見つめる。
そのクオンの異様な姿から2人は恐怖から肌が粟立つのを感じた。
「……血を洗い流して来る」
クオンは端的に言うと、近くの溜め池に向かう。
2人は無惨に殺された人間を一瞥すると、吐き気を押さえながらその場を離れた。
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