夏休み、旅行に行きました。

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ーーーそして、旅行当日。 この前みなたんとメールした2日後、集合場所と時間、目的地の場所だけがまたメールで送られてきた。 メンバーの構成は書いていない。 不安と、ワクワクとがぐるぐるする中、俺は、準備が終わったスポーツバッグを担ぎ、玄関を開けた。 「遅い。」 「………は?」 「これ、お前駅に着くのギリギリだろ。」 「え、あ、う…うん?おま、な…」 「ほら、走るぞ。」 「へっ?…あ、ちょ!?」 突然手を取って走り出す。 え、なに、? なんで、お前此処に!? 「え、えいすけ!!ちょ、ちょ!お前なんで!?」 「なんでって、遅れそうだろ?」 「ちげーよ!ここにいる理由!!」 「あぁ。迎えに来たんだよ、麻斗を。旅行、柏木から聞いてるだろ?」 「いや、聞いてるけど…お前も?」 「もちろん。俺はお前のボディガードだからな。一緒に行かないわけないだろ?」 「いや、でも、お前忙しそうで…。」 「そんなのどうとでもなる。」 「…。」 「すまん、ボディガードは言い訳だ…。俺が、お前と一緒に居たかったんだ。…ダメか?」 俺の右手を引きながら走るその横顔を見上げると、耳が赤くなっていた。 きっと、走ってるからじゃない。 俺も、それを見て顔が熱くなる。 これも、走ってるからじゃ、ない。 「…じゃない。」 「…ん?なんだ??」 「っっダメじゃない!!」 引かれた右手をぎゅっと握り返す。 「俺も、瑛介と一緒に居たかった!」 「!!ははっ、両想いだな!」 「~~っっ!もう、とっくにだろ!?」 「ありがとな。」 「…この旅行の為に無理、してないか?」 「お前と一緒に居られるんだったら、多少の無理くらいなんの問題もない。」 更に、顔が熱くなる。 恥ずかしい奴!! 「た!」 「た?」 「楽しもうな!」 「…そうだな!!」 瑛介が笑う。 俺も笑う。 みんなと行く旅行。 いっぱい楽しもう。 思い出を作ろう。 「よし、行くか!」 「おう!!」 そう言ってお互いに手を握り直すと、駅まで手を繋いで走った。 繋いだ右手は凄く、熱かった。
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