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瑛介だ…
なんで?
ドクン…ドクン…
なんか、目の前がグルグルしてきた。
心臓の音が嫌にでかい。
なに、これ?
すごく嫌な気分…
「あ、あさたん?顔真っ青だよ?大丈夫?」
「みなたん、うん。大丈夫だよ。」
ウソ。
全然大丈夫なんかじゃない。
でも、瑛介から目がそらせない。
そうしていると、チワワからの告白が始まった。
「手紙くれたのはお前か?」
「はい!!あのっ来て下さってありがとうございます!!僕、吉川 藍(よしかわ らん)と言います!」
必死に言葉を紡ぐチワワ、いや、吉川くんは真っ赤になって可愛い。
いつもだったら楽しんで見られる筈の告白シーンなのに。
胸がぐっと締め付けられているように痛い。
なんでかわからないけど不安な気分。
気持ち悪い…
「あのっえっと…
僕、真中さんの事が、好きです!!」
「ありがとう…
でも、お前の気持ちに答える事はできない。」
瑛介がありがとうと言った瞬間に頭を殴られてるようなかんじだった。
次にしっかり断っているのを聞いて、ものすごくホッとした自分がいるのを信じられない。
良かったと思っている俺は何なんだ。
「…水無月 麻斗さんとお付き合いされているのは噂でお聞きしました。」
急に自分の名前が出て来てどきりとした。
「…でも、僕には真中さんと水無月さんが釣り合っているようには思えないんです!」
心が、ザワザワする。
「まるで、2人してウソをついているような違和感…。そんな関係ならば、いっそ断ち切ってしまった方が、真中さんのためじゃないですか!?」
「………」
「…正直、真中さんに水無月さんはもったいない、と思います。」
「…そうだな。」
瑛介のそのセリフが聞こえた時点で、俺はその場から寮に向かって走り出していた。
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