Ⅰ COLTELLO -ナイフ-

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「何でだよっ。大体、大好きな女の子の初めてだよ!? 自分が最初で最後とか理想じゃん!!」 全体を見回しながら睨みつけると、わかめと大仏は怯んだが、琉架はじっと此方を見ている。 「「オトメチックー!!」」 るいるいとまみパイは、完全に馬鹿にしていたけれど! だ、大体、体の相性って何だよ。 愛ある行為だし、薔薇が舞って、甘い空気で……まぁ私の想像力じゃこれが限界だけどさ。 「かえでさん、じゃあキスもまだ?」 とうとうコーラを飲み干した琉架は、氷をガリガリ食べ始めた。 「――なんで?」 「キスも結婚までしないの?」 そう言われて、8年前のトラウマが頭をよぎった。 私の初恋の、 毎日ポエムな日記に書いてある馨ちゃんの、 唇を奪ったあの汚い思い出が。 「キスぐらいなら、平気」 「じゃ、僕としましょうよ」 「はぁ?」 間も置かず、飄々と言ったこの男、本当に高校生なのか? 「キスが気持ち良かったら、体の相性も良いですよ」 はぁ!? そう思って友人2人を見ると、何故か頷いている。 「キスが下手くそだと、全部下手なのよねぇ」 「リードするかされるか大事よね」  
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