Ⅰ COLTELLO -ナイフ-

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「まぁ、確かにかえではこんな事しないですが……」 そう言いながら、これ見よがしに首を抑える。 「だって昨日、かえでは理由も聞かずに大根で滅多刺しにしてき」 「わー!、わー!、わー!」 慌てて馨ちゃんの口を押さえると、今度はるいるいが溜め息を吐いた。 「あーあ。かえでったら魔剣大根ソードを、愛しの馨ちゃんにも使ったんだねぇ」 「何? 魔剣大根ソードって?」 わいわいと私たちが盛り上がっていると、突然、オカマバーテンダーがお盆に水を入れてやって来た。 私たちは一斉に、やってくるオカマバーテンダーを見つめていると、ヤツはにっこり笑った。 「――これだから」 そう言って、お水の入ったグラスを、 私の頭の上でひっくり返した。 「なっ」 「――これだから、女って大嫌いよ。馬鹿じゃないの?」 忌々しげにオカマはそう言うと、私にグラスを投げつけた。 「何すんだよ! このオカマ!!」 すかさず、グラスを投げ返すと、 グラスは床に落ちて、パリンと割れた。 「大丈夫ですか? かえで」 「うぇぇん。馨ちゃん、冷たいよぉぉ」 どさくさに紛れて、馨ちゃんに抱きついた。
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