Ⅰ COLTELLO -ナイフ-

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    私は8年間、片思いをしていた。 10歳の時に、そいつを好きになり、 隠し撮りアルバムは8冊。 そいつを思ったポエムな日記16冊。 『田舎の暴走娘』と、親や町内会長が匙を投げるほどの無鉄砲な悪ガキだった私は、恋によって女の子に変身した。 『僕の方が、かえでちゃんより可愛いからね!』 それと同時に、今も引きずるトラウマを植え付けられた。 ああぁああ!!!! 再会したら、めっちゃめちゃに刺してやりたい!!! 今、握っているこの、ナイフのように。 私の傷ついたボロボロの尖った心で、お前を滅茶苦茶にー……。 「かえで、ナイフを見つめて何してんの?」 そう思い詰めていた私は、 親友の言葉にハッと我に返り、また現実に戻ってきた。 「るいるい……」 「格好良い人が居ないからって思い詰めないでよ!!」 そう言われ、目の前の男たちを見た。 ――私は今、人生初の合コン中だったんだ! るいるいこと、私の幼稚園からの幼なじみは、ふんわり巻き毛の甘い香りがする典型的なぶりぶり女の子なのだが、 舌っ足らずなおっとり声で、毒を吐く。 「でも、T大生だし仲良くしてあげなよー。ね?」 可愛いらしく首を傾げて私を見つめるのは、止めてくれ。
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