Ⅰ COLTELLO -ナイフ-

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カウンター席は、既に女性客でいっぱいだった。 色んな見た事のない英語のお酒が並ぶ台を背に、その男はカクテルを作っていた。 ジャラジャラとつけたピアス、 金髪のサラサラした髪、 引き締まった細い身体に白い綺麗な肌、 長い睫毛が頬に影を落とす。 客に話しかけられて、チラッと目を向けるその瞳は、淡い碧色。 真面目な横顔は、確かに綺麗で格好良いが…… 「貴女のスーツの色に合わせたカクテルよ」 にっこり笑ってそう言った台詞は!!! どう聞いても、オカマ口調じゃん!!! ――あら、トマトパックエステ知ってる? 向かいのビルのねぇ…… 「私、自分より綺麗な肌の男は無理だわ」 「オカマって、かえでの苦手なタイプだよねぇ」 「うん。絶滅して欲しい」 「なんでなんで?」 まみパイが食いつくと、るいるいは嬉しそうに喋り出した。 「実はね、この子の初恋の君が、オカマにー」 そうくるんと振り返った瞬間に、 ドンッ とるいるいが小柄な男とぶつかった。
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