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「わわっ 遅れてすみません!」
そう、まみパイに向かって話しかけた男。
やや茶色の前髪をピンで止めて、
大きな瞳を細めて笑う、
ちょっと幼さが残る感じの男だ。
るいるいよりちょっと大きいぐらいだから170センチぐらいかな?
「あ、僕、コーラ! すみません! コーラとノンアルコールのカクテル3つ下さーい!」
「――了解♪」
その男は、無邪気にオカマバーテンダーにオーダーすると、まみパイとるいるいの肩を抱いた。
「2人とも、結構酔ってるでしょ? お酒は止めて僕と話そうよ」
「いーよ。君、可愛いー」
るいるいは機嫌をパッと良くして、その男にしなだれかかった。
まみパイは、ガシガシと髪を撫でた。
「お前、おせーよ! 友達らが待ってるぞ!」
一気にムードがその男によって変わる。
私は、にこにこ無邪気に笑う男に、妙な違和感を感じて一歩退いた。
「かえで、私ら先に戻るよー」
そう言うと、作られた男の笑顔がスウッと消えた。
「かえで?」
大きな目を見開いて、更に私を見た。
「――何よ」
睨み返すと、その男は戸惑って横を向いた。
「いや、小さいなって」
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