Ⅰ COLTELLO -ナイフ-

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他にもう1人、店長らしき顎髭の男が居るにも関わらず、なんでこのオカマが運んで来るんだよ。 「お客様、――これ」 そう言われ目の前に出されたのは、私のピンク色の携帯。 「あ」 「やっぱり。お客様のだったのねぇ。はい」 そう言われ、手に渡されたがすぐにテーブルに置いてしまった。 ……オカマアレルギーで背中が痒くなりそうだから。 てかさっき、ナイフ刺した時の音は、携帯を落とした音だったのか。 「……パスワード」 「はい?」 「パスワードが彼氏の誕生日って、単純過ぎない?」 はぁあああ!? 可愛いらしく首を傾げたつもりだろうが、190センチはあるピアス男が笑っても可愛くねーよ!! ――じゃなくて、 「何でパスワードが彼氏の誕生日って思ったんだよ!」 睨みつけるとフフンッと鼻で笑われた。 「……だって、藤原 馨(ふじわらかおる)が待ち受けだったし」 「!? あんた馨ちゃんを知ってるの?」 そう尋ねたら、目は笑わずにすぅっと笑顔になった。 「アナタと彼、有名ですもの」 「はい!?」 「ごゆっくりしていってね」 そう言ってサッと立ち去るオカマを追おうと立ち上がろうとしたら、 まみパイに腕を掴まれた。 「ぎゃはははは!!! あんた、彼氏に浮気されたの?」
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