幻影

3/5
前へ
/7ページ
次へ
生まれ出た時から『一つ』でしかない俺たちが唯一繋がれるその快楽に溺れて。 いつの間にか、俺はお前に同じ価値観を押し付けていた。 俺の中で勝手にお前を作り上げて。 少しのずれも、許せなくなってたんだ。 お前が欲しくて、幾度も身体を重ねるうちに俺は……お前なしじゃいられなくなった。 退屈な日々に色をつけてくれたお前が。 俺を鳥籠の世界から解き放ってくれたお前が。 俺を支えてくれたお前が。 愛しくて愛しくて── 俺たちは二人で一つなんだと、そう思ってた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加