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次の日もディックは夕方ジャンクの山にいた。
相変わらず空はどんよりと曇っていて、いつ雪が降り出してもおかしくないくらいだった。
「う~ん…あんまり多く持って帰ってもまた邪魔になるだけだしなぁ」
ディックはジャンクの上に座って考えていた。
「今日はこのくらいで帰るか」
ディックは立ち上がると、カゴを背負おうとした。
その時、向かいのジャンクの山に人影かあるのに気づいた。
「こんなところに誰だろう。ここは、本来立ち入り禁止なはずだけど…」
ここは、機械が支配しているフェンスの内側。いくらジャンクの山で、見つかりにくいからと言って、機械の巡回が来ないわけではない。
夜になると侵入者がいないか偵察機が回ってくる。
もう夕方だ。そろそろフェンスを超えておかないと危険だ。
しかし、その人影は動こうとはしなかった。
ディックは少し気になって近くまで行って見ることにした。
近づくほど人影は鮮明になっていった。
その人影はディックと同年齢くらいの少女だった。
「何やってるの?ここは立ち入り禁止だよ?もうすぐ夜になるしそろそろ戻らないと見つかるよ?」
少女は少し驚いた様子で振り向いた。
「え!?誰?」
そのとき、ものすごい警報音があたりに響いた。
「まずい!見つかった!とりあえず、柵の外に出なきゃ!」
ディックは、少女の手を掴むと入ってきた場所に向かって走り出した。
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