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とっさに掴んだ少女の手は、以外と小さく、弱々しく感じだ。
「え!?ちょっと!!何!?」
少女は、驚いた様子で聞いてきたが、答えてる暇などなかった。
今は一刻も早く逃げなくては捕まってしまう。走るディック達の後ろにはすぐそこまで偵察機が迫っていた。
ぎりぎりのところでフェンスをくぐり、逃げるきることができた。
機械の偵察機はフェンスを越えてまで追いかけることはできないため、フェンスの外に出れればさほど問題はない。
「ハァハァ…危なかったぁ…」
ディック達は息を切らして近くの木の下に座り込んだ。
「ここまでくればもう大丈夫。あんなところでなにやってたの?」
ディックは、息を整えてから少女に尋ねた。
「・・・・・」
少女は無言のまましたを向いていた。
「答えたくないなら答えなくていいよ。」
ディックは、うつむいてる少女にそう言うと立ち上がって、少女に声をかけた。
「もう薄暗いから、家の近くまで送るよ。」
そう言うと、ディックは座っている少女に手を差し出した。
「…あたし帰る場所、無いのよ…」
少女はそう言って、微笑んで見せた。
そのときだった、空から、ちらり、ちらり、と白く冷たいものが落ちてきた。
「わぁ、ついに降ってきた。」
ディックが空を見上げて言った。
「ほんと。初雪ね。はぁ、今年はどこで冬を越そう…もう…あてもないしなぁ…」
少女も空を見上げてつぶやいた。
「帰るところがないなら、家に来ない?どうせ僕しかいないし」
ディックは、少女にそう声をかけた。
「でも…迷惑かけちゃうから…」
少女は下を向いて小さく呟いた。
「そんなことないよ。この寒い中外にいたら風邪ひいちゃうよ」
そう言って少女を家まで連れて行くことにした。
ディックの家に向けて歩いてる間も雪は降り続いていた。
2人は特に何か話すわけでもなく、家に向けて歩いた。
やがて、こじんまりとした家に着いた。
「ここが僕の家だよ」
ディックは、そういうと玄関を開けた。
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