第壱話 機神、覚醒(めざ)める

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《welcome to sendai city》 ガイドロボットは格納していたマニピュレーターを伸ばして倒れていた瞬一のシティバイクを起こし、それを手渡しながら電子音声で歓迎の言葉を述べた。 瞬一は今日仙台に越してきたばかり。 転入届も市に提出していないのでデータベースに登録されている訳もなく、観光客か何かだと認識されたようだ。 ガイドロボットが観光チラシをプリントアウトし、瞬一に手渡す。 「へえ。仙台にはこんなのもいるんだ。地元にはこんなのは無かったけど」 瞬一は観光チラシに目を通しながら瞬一はガイドロボットを珍しげにペタペタ触る。そしてある事を思い付く。 「あ、そうだ。ここ行きたいんだけど場所解るかな?住所も書いてあるんだけど、仙台あんま来てないからチンプンカンプンでさ・・・」 肩に掛けていたショルダーバッグからメモ帳を取り出してそれをガイドロボットに見せる。 ガイドロボットがメモ帳に書かれた文字を認識する。 《かしこまりました。お持ちのスマートフォンにナビゲーションアプリを展開させて頂きます》 瞬一がスマートフォンを確認する。画面には仙台市の詳しいマップと目的地までの道筋が黄色い矢印で表示されていた。 《音声ガイド付きですので自転車にお乗りの方にも安全です》 「おおっ!こりゃ便利だ!ありがとう!」 《どういたしまして》 瞬一は再びシティバイクに跨がり目的地へと走り出した。 《have a nice day》 後方でガイドロボットがマニピュレーターをピコピコ振っていた。 同刻、秋田県。男鹿半島上空 2つの飛行体が空中において激しいドッグファイトを繰り広げていた。 1つは真紅の機体。鋭角的なフォルムが特徴のウェイブライダー戦闘機。 もう1つは異形の存在。かつて白亜期末の地球に棲息していた史上最大級の飛翔動物『ケツァルコアトルス』を連想させる翼竜、もしくは怪鳥ともいえる怪物だった。  
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